唸る重機のプロフェッショナル。
オペレーター/桜田さん

ショベルカーやブルドーザーを見ると、
ワクワクするのは私だけだろうか?

力強く動く重機を見ていると、恐竜を見ているような気分になる。
南幌町の一角で、工事の中継地点となる仮事務所を作るために、土地を平らにならしているショベルカー。「ガガガガガ」「ドドドドドド」と大きな音と振動に、仕事を忘れてワクワクしてしまう。ショベルカーから出てきたのは、南幌土建の建設機械オペレーター桜田さん。「何も答えられることなんてないっすよ」とはにかむその顔と手には、長年現場を経験してきた職人を感じさせるものがある。桜田さんは建設機械オペレーターになって20数年のベテランだ。
私には、ずっと疑問だったことがある。ショベルカーは、繊細な動きをするけど操作するハンドルが少ない。やっぱり感覚をつかむのは難しいのか否か。
「最初は俺も簡単だと思っていたんだよ。でも全然できなかった。ぬかって動けなくなることもあるんだ。思ったように乗れるようになるまで5年くらいかかったかなぁ。今はそんなこともしなくなったけどね。」
ショベルカーがぬかる?!あんな大きなものがぬかるなんて一大事。「もし自分だったら…。」と、想像したらプレッシャーでお腹が痛くなる。

土建は「3K職場」はホント?

土建業というと、「汚い・危険・きついの3K」と言われているが、実際のところどう思うか聞くと、「昔はね、きつかったよ。手取り足とり教えてくれることなんてなかったから、怒られながらも経験を積んで実力をつけていくしかなかった。今はみんな優しくなったよね。もちろん怒られることもあると思うけどさ、昔ほどじゃないよ。今は女性が活躍する現場もあるしね。女性がいる現場は、女性用のトイレも設置されてるよ。」やはり厳しい現場であったのは間違いない。でもそれを乗り越えたきたからこそ、今の技術があるわけである。まさに根性と努力。

一番きつい時はどんな時だろう?

「なんてったって冬だね。とにかく寒い!(笑)というのもあるけど、雪が大変なんだよ。冬は川も水量が減るから川の整備の仕事が増えるんだ。まず、雪があると重機が入っていけないから、重機を入れるための雪かきが必要なんだよ。雪が積もればその都度雪かきして重機を入れる。いやーこれが一番辛いね!」笑って話しているが、とても大変なこと。自宅の前の雪かきでヒーヒー言ってる自分が恥ずかしい。
「あと、自然が相手だから予想してない事態が起こることも多いかな。例えば、鳥の巣があったら一旦工事はストップ。どうしたらいいか役所に確認取らなきゃいけないんだよ。こっちもスケジュールがあるからヒヤヒヤすることもあるよ。」鳥にスケジュールを狂わされることもあるとは驚きである。
土建業というと、たくさんの資格が必要というイメージ。何せあの重機を操るんだ。普通自動車免許くらいでは仕事にならない。桜田さんは、今後どんな資格を目指すのだろうか。
「次の資格?なんだろうな~。俺、次何とるんですかね?」と近くにいた先輩たちに助けを求めると、「1級だろ1級!」「えー。やりたくねーなー」と笑う桜田さん。1級とは建設機械施工技士 1級のことで、すべての建設機械を用いた施工における指導・監督的業務に就くことができる資格のこと。仕事の幅が広がることはもちろん、請け負う金額まで変わるという。しかし、学科と実地試験があり、容易ではないことは確かだ。
「業務経験を生かして資格を取得し、新たな業務に挑戦する」という、自分の実績と実力を、資格という形で表すことができるのも土建業の特徴かもしれない。
来年にはもう取得して、監督として現場に立つ桜田さんがいるかもしれない。そして、「次はあの資格だ!」と先輩たちにからかわれている姿は目に浮かぶ。